[FT]中国商業不動産、ECがもたらす価格下落に懸念 


2014/6/25 15:17

 中国で不動産の供給過剰が最も見つけにくいのは、美しい湖で有名な杭州市と、商業の中心地・上海の間の地域だ。高速鉄道はその170キロメートルに及ぶ範囲をたった1時間でつなぐ。杭州は観光地として名高いことに加え、インターネット・グループのアリババの創設者、馬雲(ジャック・マー)の故郷としても知られる。IT企業で史上最大となる同社の上場はまもなくだと見られている。

ショッピングモール内のブティック建設予定の場所を歩く女性(北京)=AP
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ショッピングモール内のブティック建設予定の場所を歩く女性(北京)=AP

 

不動産とアリババは全く関係のないものと思われるが、そうではない。

不動産市場の価格下落に関する懸念は、現在のところ住宅にそそがれている。住宅市場が中国の状況を象徴するという、社会的・政治的な危うさがあるからだ。もし住宅価格が急騰したら、持たざる者は暴動を起こしかねない。一方、価格が暴落した場合には、持つ者は資産価値の損失に対して抗議するだろう。

セメント、ガラスや鉄などの建築資材需要の高まりで活況を呈してきた業界は、需要低迷による影響に動揺しており、一方で政府は直接的・間接的に、土地を担保とした借り入れで焦げ付きが懸念される貸し出しを、銀行に促している。

■アリババのようなECの影響が顕著に

住宅価格への注目が高まる一方で、必ずしも経済的要因のみで動くわけではない商業不動産は、もっと激しい価格下落を起こしうる。馬氏は、それを裏づける事例の1つだ。

アリババは中国最大のEコマース会社だが、ここにきてEコマースが様々な分野に与える影響が顕著になってきている。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のデータによると、中国には6億2000万人、およそ人口の半分の携帯インターネット利用者がいるとされている。今年前半の4カ月で、Eコマースの取引は50%以上も増加した。

米投資会社ブラックストーンの不動産子会社やコロニー・キャピタルの経営陣などの投資家は、中国本土でのEコマースの効力を見計らっている。現在計画中のショッピングモールの需要は彼らの当初の計算よりは低くなるだろうと結論づけた。ブラックストーンの役員はその潮目の変化に気づいている。小売店を主とするショッピングモールは、インターネット取引の増加で苦戦し始めている一方、食事であれエンターテインメントであれ、体験やサービスを提供するモールはにぎわいを見せている。ブラックストーンはこれを受けて、小売業への投資を見直している。

だが、小売業はもっと大きな変化の1つにすぎない。インターネットは金融サービスをも変容させるだろう。例えば、銀行は何千もの支店を必要としなくなる。教育の分野でも教室という場所を必要としなくなる。一流大学は、常に優秀で野心的な通学生を引き付けるが、それ以外の学生はネット上の学習に引き寄せられる。

こうした変化の恩恵を受ける分野も確実に存在する。数週間前にアメリカで上場を果たしたEコマースベンチャーのJD.comなどは、アメリカのロールモデルとは違った手法で発展する。例えば、JDは、アマゾンのようなオンライン上の小売業者であるが、UPSやDHLのような宅配も行っているため、倉庫や配送センターの必要性が高い。そのため、ブラックストーンやカナダ年金計画投資委員会(CPPIB)は倉庫会社への投資を好む(少なくとも宅配用の無人ヘリコプターの登場がそれらの存在意義を弱めるまでは)。

もちろん需要は、常に予想したよう形では発展していかない。20年前に日本の大手デパートが上海に出店した時、懐疑的見方をする人々は、優良顧客になると目される金持ちは、物価の安い香港に行って買い物するだけの金を持っていると冷ややかに見ていた。それは一部当たっている。だが、上海の富裕層は顧客の中でもほんの一部だ。収益の多くは上海を訪れる地方客からもたらされている。彼らは、上海が遠く離れた夢の場所だと考える近隣地方の人々に、商品を買値より高く転売している。インターネットはこうした都市と地方の距離を大きく近づける。

■商業不動産分野を気にかけない政府

不動産価格の下落がどれほど許容されるかは、政治的問題でもある。政府はおそらく、市場が不良資産の価格をどこまで形成できるかを限定する下限を設けるだろう。中国には手ごろな住宅が必要だ。住宅価格下落による犠牲者は、既に整理が始まっていてる不動産開発業者や、国の支援を受けている銀行、またシャドーバンキング市場で理財商品を購入している不注意な投資家などだ。

政府は商業不動産分野をあまり気にかけていない。小規模都市に中堅のショッピングモールを建設する業者は、国が価格下落の影響から保護する理由に乏しいからだ。

 

By Henny Sender

(2014年6月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

 

 

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2501L_V20C14A6000000/

 

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About Uy Do

Banking System Analyst, former NTT data Global Marketing Dept Senior Analyst, Banking System Risk Specialist, HR Specialist
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